最近、日本はとんでもない酷暑なので、2年後の東京オリンピックで選手や観客、ボランティアは熱中症で倒れる人が続出するのではないか、ということが騒がれています。
それに対して、都知事やオリンピック大会組織委員会会長が、首に濡れタオルをすれば涼しくなるとか、この暑さはチャンスだという始末で、その他にもサマータイムを導入しようなど、精神論や国を挙げての姿勢が、まるで太平洋戦争時の日本のようだ、そんな記事を見かけたので、なぜ、そうなるのかを書いてみました。
今の日本はどういう状況だろうか?
そう言われると、何となくピークから転がり落ちてきている、そんなことを思われることが多いのではないでしょうか。
実は、組織などの成長度合いを見るのに、便利なグラフがあります。
成長曲線と呼ばれる曲線で、S字の初めは緩やかで、中ぐらいから急成長をして、最後に緩やかになる曲線があって、組織や商品などの成熟度はこのような曲線を描くと言われています。
別名ロジスティック曲線とも呼ばれています。
あれっ、このグラフだと、最後の方で落ちていますが、こちらは修正ロジスティック曲線と呼ばれる、古田隆彦氏が提唱している、生物の生息数はこのように推移するという曲線で、張り付けたグラフの成長期までは通常のロジスティック曲線です。 いや、二つのグラフを用意するのが面倒だったので。
さて、この成長曲線で企業の状況が予測できると書かれているのが、カリスママーケッターの神田昌典氏で、氏は現在の日本の状況を成長期の後半のピーク間近と書いています。
この時期になると、投資効率が落ちてくるため、投資をしても売り上げは上がらず、経費ばかりが掛かるようになってくるそうです。 …今の日本の状況そのままですね。
しかし、成長期の成功を忘れられないため、ジャンジャンお金を投資…、前には投資だったけども今は効果が無くて、経費だけが掛かることに金をつぎ込みます。
そして、特に成長期の前半は、やればやるだけ儲かっていたため、精神論が有効だったのですが、後半になってくるとやればやるほど無駄が大きくなるので、いかに無駄なことを切っていくかが重要になります。
実は、太平洋戦争の頃の日本も、本来、自分たちの経済規模に合わせて縮小に転じないといけなかったのですが、国内が傾くぐらい海外に投資してしまったため、拡大せざる得なかったのです。 同じように、成長曲線の成長期後半のポジションなので、同じような状況なのです。
さて、これからの日本の怖い話…
ここまでなら、成長曲線でよかったのですが、実はこの話には続きがあって、先ほど紹介した古田氏は、生物の生息数は、その環境で生息できる上限まで増えるが、ある一定の生息密度に達すると、今度は減少させるように行動し始め、上限数より少ない数で増加・減少を繰り返すという説を唱えています。
そして…、これが人間にも起こるとも書いています。 つまり、これが少子化が起きている原因です。
簡単に書くと、文明が作り出すことが出来る富の量、生物にとって一番大きいのは食料ですが、現在は食料にも変換できるお金が大きいですね、それを人口で割った数字が一人当たりの富の量ですが、その数字がぎりぎり生活できるまで人口が増えるが、その状況ではストレスになる為、本能的に人口を減らして、ある程度快適な人口になるまで調整するということです。
日本の場合は、一億2800万人が人口のピークだったのでこれが上限ですが、これからある程度、富を分配した時に快適になる数まで減少していきます。(実は、アベノミクスが成功しているか出生率でみた場合、ええっ、お察しです)
実は、この修正ロジスティック曲線に似た曲線をある本でも書かれています。 「ビジョナリーカンパニー3 衰退の5段階」の中で、企業の成長と衰退のグラフが、よく似ています。
つまり、組織と人口の動態は、同じような動きをする、いや、人が組織を作る以上、連動していると言った方がいいでしょう。
ビジョナリーカンパニーの中で、企業は次のように衰退すると書かれいてます。
1、成功から生まれる傲慢
2、規律なき拡大路線
3、リスクと問題の否認
4、一発逆転の追及
5、屈服と凡庸な企業への転落か消滅
あくまで、個人的な意見で異論もたくさんあると思いますが、現在の日本は第四段階まで進んでいると思います。
残念ながら、過去の成功は問題もはらんでいる物なので、それが今、噴き出している状況です。
それを妄信的に追求すれば、問題の方が大きくなっていきます。
今後の日本を考えると、東京オリンピックのあたりから、多くの人がそのことに気づくことになると思いますが、多くの政治家や経済界などは、認めないでしょう。
まずは、彼らの言うことを信じ日本の幸せが自分たちの幸せと信じ続けるのか? 立ち止まって自分の幸せを探すのか? そうなるのではないかと思います。