死にたがりだった頃の僕は剱岳に行きたかった
I wanted to climb Mt. Tsurugi, which is famous for steep and rocky mountain.
死にたがりという表現はあんまり適切じゃないかもしれないが、僕は20代の頃は割と人生に絶望していた時期があった。まぁ、ある一定レベルの負の感情に覆われていた時期があったのだ。これだけのストレス社会に生きていて、同じような道をたどっている人は少なくないと信じたい。まあ兎に角、20代の頃の僕は実力がなく、自信もなく、目の前の生活にも辟易していて、山に行くのだけが唯一の楽しみのようにして生きていた。そしてその頃の僕はたぶん、勲章が欲しかったのだと思う。高い山、険しい山、冬山にチャレンジしていた。とは大げさに書いてみたものの身体の小さい僕は漫画の主人公のようにはなれず、1つ大きな山に行って無茶をすれば3週間ぐらい体調が悪かったりと、結局は人並みの事しかできなかったのである。それでも難易度の高い山にいって山頂を踏むというのは僕にとってはとても価値のあることであった。そんなことを思っている時期にどうしても行きたかった山があった。北アルプスにある剱岳である。
When I was in my twenties, I was a kind of reckless guy. I had no hope at that time, and I think it's not abnormal because modern society is very stressful. I had no confidence, no ability, and the real beat me a lot. My only fun at that time was just climbing. And I think I wanted to get a "big medal", I challenged to climb high, rocky, steep mountain. And I decided to climb Mt. Tsurugi where is in Japan Alps area.
剱岳へ
To Mt. Tsurugi.
[2015/7/18] (曇り) 新潟⇒富山 (前泊)
[2015/7/19] (風雨) 立山駅⇒室堂⇒雄山⇒剣山荘
[2015/7/20] (晴れ) 剣山荘⇒剱岳⇒室堂 (下山)
7月の3連休を利用して剱岳へいった。山頂を踏めば何かが変わるんじゃないかとすら当時の僕は思っていた。今思えば大げさである笑。当時の自分が何を思っていたのか、どんな心境だったのかを思い出しながら書いていきたい。ラッキーなことに僕は登山日記をつける癖があるので当時の自分の気持ちを思い出せる。ノートには登山のコースタイムが記録されているけど、同時にその時の自分の心境も綴ってある。読めば「死にたい、死にたい」と、数ページに渡って残っている。僕は10代で卒業するようなことを、20代になっても恥ずかしながら続けていた。大人になっても大人になりきれず、黒歴史を歩み続けていたようであった笑。Steemitの記事は消せないとのことで、これまた恥ずかしい1ページにならないように気を付けたい。しかし当時の僕は死にたいとノートに綴りながらも、この時ちゃっかりクライミング用のヘルメットを購入していた (今でも愛用している)。本当に死ぬ気はあったのかと疑問に思う笑。なんというか人生からは逃げまくっていた僕だけど、登山という趣味に対してはいつでも真正面から向き合っていたんだと思う。
兎に角、僕は7月の3連休に剱岳へいった。立山黒部アルペンルートを通り、室堂から雄山を経由して剱岳を狙う王道ルートを選んだ。雄山は人生で4回いったことがあるが、未だに晴れたことはなく、この時も晴れなかった。晴れの雄山を拝みたい。次に雄山にいくときは嫁を連れて行こうと密かに画策している。
Mt. Tsurugi is 2,999m high, which is one of 100 famous mountain in Japan.
7/18 (1日目)、前泊
Day 1
千寿壮で前泊。行ってみてわかったが、いわゆる「弾丸登山」で狙えば剱岳は新潟から1泊2日で狙える山であるが、仕事がある人間にとっては体力的に非常にキツイと思う。住んでいるエリアにも依るのであろうが、基本的には3連休などを狙って2泊3日で狙うのが通常であろうか。
I went to Toyama prefecture, where is next to Niigata prefecture, It took 4 hours by car. I think For 3 days are normal schedule to climb Mt. Tsurugi. Of course, we can go and climb Mt. Tsurugi for 2 days in tight schedule. Anyway I planned 3 days trip for climbing. And the first day, I went to Toyama prefecture.
(copyright (c) 千寿壮 website)
7/19 (2日目)、室堂⇒剣山荘
Day 2, Murodo⇒Kenzan lodge
[0415] 起床
[0520] 切符購入
[0600] ケーブルカー乗車
[0615] 美女平
[0712] 室堂着
[0734] 登山開始 (スタート)
[0939] 雄山登頂
[1029] 大汝山登頂 (⇒真砂岳⇒別山⇒剱沢キャンプ場ルート)
[1440] 剣山荘着
Waking up, and I noticed the weather is not good. The second day, I went to the Kenzan lodge via Mt. Oyama(3015m). I thought it was boring to go to the lodge straightly, and Mt. Oyama is one of my favorite mountains. It took 2 hours from the start. The weather is hard rainy, strong wind, so when I got to the Kenzan lodge, I was so exhausted.
朝起きて、台風11号の直撃を受けて五里霧中、強風の中雄山を目指す。まっすぐに剣山荘を目指しても良かったとは思うが、せっかく立山連峰エリアに入ったのだから雄山を落とさずにはいられない。僕は普段2600~2700mを超えると高度障害がではじめて、アルピニストとしては微妙な体力なのであるが、この日は全く高度障害に悩まされずに雄山までたどり着いた。流石に最後の2700~3015mのざれ場はキツかったが。
雄山の頂に立ったが予想通り何も見えず、リベンジを誓って剣山荘に向かう。大汝山、真砂岳などを経由して剣山層に向かったが、この稜線は晴れたら最高の景色が拝めるんではないかと思う。剱岳までいかずともお鉢周りのように室堂からぐるっとまわるだけでも楽しそうだ。
剣山荘にたどり着いたのが1440であり、この日は7時間の山行となった。稜線は雲の中を延々と行くだけであって、あっという間に装備は濡れてしまった。気づけばかなり体力が奪われてしまった。日記を読み返すと「ロキソニン (頭痛薬) の携帯必須!」と記載されていていてちょっと笑ってしまう。
7/20 (3日目)、剣山荘⇒剱岳⇒室堂
Day 3, Kenzan lodge⇒Mt. Tsurugi⇒Murodo
[0330] 起床
[0434] 剣山荘出発
[0601] 前剱
[0729] 剱岳
[1422] 室堂
晴れた。台風一過である。天気予報が見事にあたった。晴れた、本当にうれしかった。雨で濡れた岩場、鎖場にはあんまり行きたくなかったし、何より晴れない登山は辛いだけである。いよいよ憧れの剱岳の頂を踏むのだと心が踊った。
装備はすべて持って出た。だがこれは失敗であった。山小屋の主人にお願いしてデポ (一時置き) させてもらえばよかった。八海山を何度も登り、ボルタリングも慣れていたので多少の岩場は平気であったが、これまでにない険しい岩場に立ち向かうのに10kgもあるザックは多少リスキーだったし、そもそも体力的なことを考えればデポ一択なのであったが、なぜか僕は装備をすべて持って行ってしまった。この選択が僕の少ない体力を奪う結果になった。それ以降、僕は岩場に行く時はかならず装備を落としてから行くようにしている。
The third day, I could climb in a good weather luckily, the weather was fine. I knew the weather forecast, but I was worried about the weather, because I am an unlucky guy. The most difficult place to climb in Tsurugi is called "Kanino-Yokobai", which means CRAB-WALK. I was enforced to make a traverse like a crab. I was very scared for the extreme rock wall.
剱岳では難しい鎖場がいくつかあるが、中でも7番鎖、それからカニのタテバイ、カニのヨコバイが難所である。なにが難所かって、恐怖心を煽るような高度感がものすごい。平素の自分であれば難なく登れそうな鎖場であるが、滑落したら命に関わるレベルの高度感のなか鎖場を登らなくてはいけないわけで、一回でも足が竦んでしまうと身体がこわばって固くなり、急に難易度があがってしまう。カニのタテバイ、カニのヨコバイは人知れず有名な箇所であるが、皆が口をそろえて難しいというのもわかる。そんな難所だったのである。
(カニのタテバイ)
カニのヨコバイは、生まれて初めて「あっこれヤバいかも」って思えるぐらいで、はっきりいって僕は足が竦んだ。鎖を握る手に汗をたっぷりかき、この恐怖心は今でも忘れないが、あの時の心境を僕はなかなか文章で伝えられないから少し残念に思う。さらにカニのヨコバイが難しいのは、下りの鎖場だからなのである。チェストハーネスで鎖場に確保をとってもよかったかもしれない。少なくとも僕は次に剱岳にいくとき、カニのヨコバイではセルフで確保を取る気がする。
(カニのヨコバイ, Kanino-Yokobai (Crab-walk)
カニのヨコバイが終わると、ひとまずは剱岳登山の行程のピークは終わる。下山時にこんな難所が待っているなんて気の抜けない山であると思う。登山前に下調べしたときからカニのヨコバイが難所とはわかっていたが、それでもこれだけのインパクトのある恐怖心を覚えると、やはり難しい場所なのだと改めて実感する。
鎖場を抜けると一気に気が抜けてしまい、急に疲れを覚える。最後、室堂に向けて歩き始めなければならないが、意外と距離がある。室堂に着いたのが14時20分頃であり、この日は10時間山行となった。非常に長い1日がおわったのである。念願の剱岳の頂を踏んだ感動もあるが、疲労感によって「キツイ山だった」という印象も大きい。剱岳の最後、日記を見返すと「言葉もない」と記載されているが本当に言葉を失うぐらいにハードな登山であり、印象強い山であり、満足感の得られる山であった。
I was satisfied, and I have a little bit confidence through the experience. My hobby is climbing. I love it. I'm sure that I continue to climb until I cannot walk. I don't change very well, we know we cannot change so soon. But step by step, changing slowly is better than that we don't change. At least, I can afford to consider like that.
僕は死にたがりであったと冒頭に記述したが、はっきり言って今でも若干そんなことを思うときはある。あのときから多少成長はしたのであろうが、それでも人間そんなにすぐには変われない。もう少し強い人間に変わっていきたいと思っているし、そもそもこれだけの日本社会に生きていて情緒不安定なほうがよほど人間らしいとさえ思うえるようになった。それだけでもちょっとは成長したんじゃないかなって思う。少なくとも昔の僕はそんなことを思う余裕すらなかった。
そして変わらないものもある。僕はいまでも山が好きで、相変わらず山に登り続けているということだ。たぶんこれからもずっと変わらないんだと思う。
写真を見返すと結構楽しそうな顔をしている自分がいて驚く。
記録は録っておくと意外と楽しい笑
Marcy