前回に引き続き、今回はSteemの最大の特徴とも言える報酬設計についてわかりやすく簡単なスライドを交えて解説して行きたいと思います。
□INDEX
[ Steem report Vol.1 ] STEEM / Steemit / Steem 意外と知らない3つの違いって?
[ Steem report Vol.2 ] 意外と知らない Steem Blockchain の仕組みについて
まず見ていただきたいのはSteemのホワイトペーパー冒頭部分。
※https://steem.io/steem-whitepaper.pdf
注目いただきたいのはこちら
「Steem is a blockchain database that supports community building and social interaction with cryptocurrency rewards.」
これを日本語訳すると
「Steemは暗号通貨の報酬によって、コミュニティ構築と社会的相互作用をサポートするブロックチェーンデータベースです。」
となります。
『社会的相互作用』とは聞きなれない言葉ですよね?
調べて見るとこんな直訳になるそうです。
『人々が状況に意味を持たせ、他者が意味しているものを解釈し、それに応じて反応する事象』
これらを踏まえて先ほどの一文を紐解くと、
Steemとは
報酬によって参加者同士の活動を促しコミュニティ構築をサポートする基盤
ということを示していることが理解できますね。
多くのブロックチェーンが、その可能性を
- 資産としての価値
- 技術としての価値
に集約されて議論がされがちな中、このSteem においては
- 活用としての価値
を明確に説いているとてもユニークなブロックチェーンであることが読み解けますね。
では、Steemの価値の根幹とも言えるその報酬設計について早速見て行きたいと思います。
まずはこちらが全体像となります。
流れとしては
(1)毎日、新たにトークンが発行(インフレ率9.5%/年)
↓
(2)一時的に「報酬プール」にトークンがプールされ、報酬確定後に参加者へ配分
↓
(3)大きく3つの属性に報酬が配分
・著者、キュレーター:75%
・SP保有者:15%
・wittness:10%
↓
(4)著者、キュレーターに割り振られた報酬はさらに下記割合で配分
・ 著者:75%
・キュレーター:25%
ブロックチェーンデータベース(steemdb)を見ると多少の誤差はあれど報酬配分のアルゴリズムがしっかりとうロックチェーン上で動いていることが読み取れるかと思います。
ここで注目いただきたいのは報酬の分配先が
「著者」だけでなく「キュレーター」にも配分されるという点です。
SteemはfacebookやRedditなどの従来型のメディアと大きく異なる点として収益構造をホワイトペーパーであげており、その最たる部分がこの
- 著者
- キュレーター
と言ったSteem参加者全てに収益(報酬)を配分するといった点になります。
これにより、コンテンツ投稿者である著者と、そのコンテンツを「いいね(vote)」や「コメント」によって評価するキュレーターとの双方向のコミュニケーションが活発化され、
参加者同士の主体的なコミュニティ構築
がなされると言ったユニークなインセンティブ設計となっているのです。
そしてさらにキュレーターのアクティブな行動を促す仕掛けとして
- 良い記事をいち早く見つけるインセンティブ
- 良い記事に対して評価(いいね(vote))するインセンティブ
設計がなされています。
どう言った仕掛けかというと、
- より良いコンテンツには自然と人気が集まり
- いち早くその価値を見つけたキュレーターには報酬としての見返りが大きい
という概念の導入です。
ホワイトペーパーにはこのような図で概念が解説がされています。
1番目のもののと比べその得られる効果は
2番目はおよそ半分程度
3番目はおよそ1/3程度
であるという概念です。
これを、著者の立場で見ると
・より良いコンテンツには多くの人気が集まり得られる報酬も大きくなる
・それだけでなく、ロングテール部分にもしっかりと報酬は行き渡る
というインセンティブ設計となっていて
キュレーターの立場で見ると
・より良いコンテンツをいち早く見つけ「いいね(vote)」をした方が
2番目に「いいね(vote)」をする方よりも報酬がもらえる
というインセンティブ設計になっています。
ただし、これだけですと良さそうな著者のコンテンツに対して内容を読まず「いいね(vite)」が乱発されてしまう可能性もあり、こう言った事象を防ぐ仕掛けとしてコンテンツ投稿時の経過時間によって「いいね(vote)」による報酬配分が著者とキュレーターで異なるというインセンティブ設計が導入されています。
具体的には、下記のようになっています。
- 投稿直後:著100%
- 3分後 :著者90%、キュレーター10%
- 15分後 :著者50%、キュレーター50%
- 27分後 :著者10%、キュレーター90%
- 30分以降:キュレーター100%
これにより、コンテンツを見ずに「いいね(vote)」が乱発されることが防がれるのと同時に、コンテンツの発見が遅くなりすぎることも防ぐことができ、キュレーターの行動価値が最大化されるインセンティブ設計となっています。
こう言った細かな報酬設計を通じて、コンテンツ投稿者である著者だけでなくそれを評価するキュレーターへの良質な参加が促され参加者同士の主体的なコミニティ構築がなされるという仕組みがなされています。
こうして見てみると、Steemは他のブロックチェーンにはない
・活用としての価値
としてのブロックチェーンがコンセプト設計の段階からしっかり練られていることがわかりますね。
事実、2016年3月のリリース以降、右肩上がりに登録アカウント数は増え続けていて、さらに日々のコンテンツ投稿だけでなく、各国で活発なコミュニティ活動もなされていることから、とてもユニークなブロックチェーンであると言えるのではないでしょうか。
次回は、
[ Steem report Vol.4 ] インフレ通貨としてのSteemの価格維持設計について
について解説していきたいと思います。
□ INDEX
[ Steem report Vol.1 ] STEEM / Steemit / Steem 意外と知らない3つの違いって?
[ Steem report Vol.2 ] 意外と知らない Steem Blockchain の仕組みについて
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