皆さんこんにちは。
Hi steemians! (English version is Here)
先日から @sumiさん、そして @argonさんの「売茶翁(ばいさおう・まいさおう)」という江戸時代中期の僧侶であり「煎茶」の中興の祖と言われる人物についてのポストを読んでいると、以前にNHKドキュメンタリーで紹介されていた半澤鶴子さんのことを思い出して少し書いてみたくなりました。「女ひとり70歳の茶事行脚」というこの番組は反響が大きかったのか、何度か放送されていたのでご覧になった方もおられるかも知れません。またこの2月には本を出版されたそうです。
【講談社】
私と茶道…
ちなみに私はというと、小学生の時に茶道クラブで少し経験したくらいです^^; 実は5年ほど前に一度、茶道教室の見学へは行ったのですが… やっぱり見学だけで終わってしまいました…(. .)。機織りをしている関係で、たまに勉強会や見学会のあとでお茶を戴くことがあるんですが、いつも末席に座らせて戴いてドギマギしながら見よう見まねでいただいています。今は生活が落ち着かないのでなかなかお稽古ごとが始められないのですが、せめて美しい作法で落ち着いていただけるくらいまではお稽古を受けたいなと思っているところです。
半澤鶴子さんの略歴
70歳を超えて全国行脚で巡っているという半澤鶴子さんは
●昭和18年満州生まれ
●幼少期に両親を亡くして広島の養父母と中学まで暮らす
●洋裁学校を卒業して結婚、その後、通信制の高校を卒業
●幼稚園の保母免許や調理師免許を取得し20代は子供に関わる仕事に従事
(3時間の睡眠がたたって胃潰瘍に…)
●千葉県東金市へ引っ越したのを機に料理講師養成所で勉強して30代を過ごす
(短歌も勉強するなどして過労でダウンして半年間、目が見えなくなる)
●40歳で茶事を届ける出張料理人となる
(実践の板場で修行をしながら運転免許を取得)
●料理教室を辞めて10年、自宅に「鶴の茶寮」を開く
自らバンを運転して全国を茶事行脚
このドキュメンタリーでは70歳を超える半澤さんが着物姿で自ら大きなバンを運転して、全国の様々な場所で茶事を開く様子が映し出されます。
茶事でもてなすのは「一期一会」、半澤さんがいいと思った場所で、もてなしたいと思った人に声をかけ、日時の約束をしてその土地の食材を使って懐石料理の準備を始めます。準備に数日間、茶事当日はお食事と最後の茶会を併せると4時間にもなるそうです。
地域の食材や様々な人との出会い
漁師町を訪ねて、急に「お茶を召し上がりませんか」と声をかける半澤さんに、漁師さんたちは戸惑います。それでもその優しい雰囲気に押されてか招待を受ける漁師さんたちの前で、お茶を点てる半澤さん。
体調が悪くても、どんな相手でも全力でもてなす
ときにはその長旅から体調不良を起こし、それでも約束をしたからと外で煮炊きをして何とか間に合わせたり、寒い雪国で竹を組んでお湯を沸かしてお茶を点て、高校生をもてなす場面もありました。畑仕事をする山間の民家の畑に布を広げて野点をすることもありました。
お茶をもっと身近に
形式があり堅苦しいと思われがちな「茶道」ですが、そんなことお構いなくとても自由に、リラックスした茶事で人々をもてなす半澤さんには、それまで歩んだ人生のような強さや優しさが人柄に現れているようで、感銘を受けました。
本当の意味で「人をもてなす」とはどういうことか、心を込めて準備するとはどういうことかを、半澤さんの振る舞いから学ばされました。
いつか、この方が作られるその場の「空気感」を体験してみたいなぁと思っています。近くに住んでいたら通いたいくらいなんですけどね…。
売茶翁と半澤鶴子さん
さて、売茶翁についてはsumiさんとargonさんが詳しく書かれているのですが、argonさんの記事を読むと半澤さんとの共通点が幾つか見えてきます。
幼少期に両親を亡くしていることや若い頃に体調を崩したこと、売茶翁は漢詩、半澤さんは短歌を勉強していること、晩年に売茶翁は「売茶」(いわば移動式喫茶店)の生活を始め、半澤さんは移動式茶事をはじめる。自由人であることもまた共通していそうです。たまたまなのかどうかは解りませんが、売茶翁のことを聞いてすぐ半澤さんの姿が思い浮かびました。
「鶴の茶寮」ホームページや季刊誌・講習会のこと
そして現在も半澤さんは東金市の「鶴の茶寮」や京都市などでお茶事の実習や日本料理講習会など、流派を問わず、1回ごとの参加制で体験できる場所を提供しているようです。
ホームページには、定期的に発行しているという季刊誌「自蹊庵(じけいあん、かな?)便り」がPDFで掲載されています。月別の献立やレシピも掲載されていて、その執筆にもお人柄が出ていて(多分ご本人が書かれていると思います)とても魅力的ですので、良かったら訪ねてみてくださいね。本来の「おもてなし」や「茶道」とは「料理とは」何かを考え直すいいきっかけになるのではないかと思います。
普段はあまり人に関する記事は書かないのですが(特に健在の方について)、自分がいいと思うことに真っ直ぐで、美しい生き方をしておられるなぁと思うので紹介させていただきました。
@sumiさんの売茶翁の記事
@argonさんの売茶翁の漢詩の記事
English version of this post is here
【参考】
NHKドキュメンタリーETV特集「女ひとり 70歳の茶事行脚」
鶴の茶寮
セイビン映像研究所
講談社BOOK倶楽部