[ Steem report Vol.6 ] Steem経済圏を活性化させる3つのトークン設計と活用の仕組み

Steemが分かりにくいといわれる理由の一つにトークンが3つあることがよくあげられますね。

そもそもなぜ3つも必要なのか?導入の背景から運用後に見えてきた課題点までホワイトペーパーの内容も交えながら解説していきたいと思います。

スクリーンショット 2018-06-13 00.06.45.png

まずホワイトペーパーにはSteemネットワークにおけるトークンの役割をこのように言及されています。


スクリーンショット 2018-06-12 15.54.20.png
https://steem.io/steem-whitepaper.pdf


抽象的な表現でよくわからないですよね。。

要するに、

Steem経済圏内に参加者を留めさせ、活発な経済活動を促すためです

そのためにはトークンの性質として

  • 『流動性』としての価値
  • 『影響力』としての価値
  • 『安定性』としての価値

を担保する必要があり、Steemでは3つのトークンにその価値を与えています。

これらの内容を踏まえ、早速、Steemで扱う3つのトークンの特徴を見ていきたいと思います。

◆STEEM
流動資産としての価値があり、いつでも市場で売買することが可能です。
STEEMはSteemブロックチェーンの基本単位とされていて、多くの取引所で扱われています。その為、いつでもBTCやETH、FIATといった別の通貨への交換が可能な流動性のあるトークンといえます。
STEEM 取扱取引所
Binance(STEEM / BTC or ETH or BNB)
Upbit(STEEM / BTC or KRW)
Huobi(STEEM / BTC or ETH or USDT)
Bittrex(STEEM / BTC)
Bithumb(STEEM / KRW)
Poloniex(STEEM / BTC or ETH)
GOPAX(STEEM / KRW)
HitBTC(STEEM / BTC)

◆Steem Poower(SP)
影響力としての価値があり、コンテンツの報酬配分を決定する権限があります。
保有残高に応じて「いいね(vote)」による投票の重みが増し、多くSPを保有している方からの「いいね(vote)」があると、そのコンテンツの報酬配分が増す設計となっています。
コンテンツへの報酬配分が多くなるということは、コンテンツ作成者である著者だけでなく、そのコンテンツを「いいね(vote)」したキュレーターへの報酬配分が増すことにも繋がります。
※なぜ、SPに影響力を持たせているかについては前回記事で解説していますのでそちらを参照ください。

◆Steem Dollars(SBD)
安定資産としての価値があり、「1SBD=1ドル」に固定されています。いわゆるステーブルコインに属しますね。STEEMは流動性を担保する分、ボラティリティーがあるため資産としての保有にはリスクが伴いますが、SBDはドル価格と固定されているため、安定した資産の保有ができます。また、SBDは保有することで利息を得ることができ、Steem経済圏内での資産形成には最適なトークンといえます。一部の取引所では売買も可能なため、流動性も兼ね備えたトークンといえます。
SBD 取扱取引所
Upbit(SBD / BTC or KRW)
Bittrex(SBD / BTC)
Poloniex(SBD / BTC)
GOPAX(SBD / KRW)

3つのトークンの特徴が分かったところで、実際にどのように3つのトークンがSteem経済圏内で流動しているのか見て行きたいと思います。

まずはじめに理解して置いてもらいたい報酬の仕組みがこちら

  • そもそも報酬として受け取れるのはSPまたはSBDである
  • 報酬でもらったSPをSTEEMに変換するには13週間かかる

と言うルールがあると言うことです。

詳しく見ていくと、

・そもそも報酬として受け取れるのはSPまたはSBDであるという点。


コンテンツの報酬の受け取り方は

(1)「SP 100%」で受け取る
(2)「SP 50%:SBD 50%」で受け取る

スクリーンショット 2018-06-12 23.47.45.png

の2パターンから選択できます。
報酬の半分が安定資産のSBDで受け取れるため、経済活動を続ける上でリスク回避につながりメリットといえますが、逆いうと報酬の半分しか直ぐに市場で売買することができない設計ともいえます。

スクリーンショット 2018-06-13 00.08.13.png

・報酬でもらったSPをSTEEMに変換するには13週間かかるという点。


前回の記事でも少し触れた点ですが、SPは流動資産であるSTEEMに変換するのに13週間かかります。つまり、必然的に報酬の半分以上が長期保有化されます。

スクリーンショット 2018-06-13 01.13.59.png

この2点により、報酬の大半がSteem経済圏内に留まる設計となっています。

しかしながら、単に流動性の低いトークンでしか報酬がもらえないとなると、モチベーションが低下しそうですよね?

そこで、Steemでは先ほどあげた「影響力」と「利息」と言う『トークン保有におけるメリット』以外に『トークンが使われる仕組み』が設計されています。

■『トークンが使われる仕組み』
(1)Steem経済圏内でのトークン流動性を促す仕組み
(2)トークンの活用先となるアプリ

一つひとつ見ていくと

(1)Steem経済圏内でのトークン流動性を促す仕組み

  • 送金時間は秒速
  • 送金手数料は0円
  • ネイティブネームシステムにより簡単に送金

スクリーンショット 2018-06-12 16.36.53.png

・送金時間は秒速
SteemはコンセンサスアルゴリズムとしてDposを採用しています。このDposによりトランザクション処理が3秒で完了するため、多少のトランザクションの滞留があったとしても秒速で送金が完了します。

・送金手数料は0円
Steemブロックチェーンはトランザクション処理に手数料がかからない設計となっています。そのため、送金に関しても手数料は一切かからずに送金が可能になり、投げ銭などが活発に行われるような仕組みとなっています。

・ネイティブネームシステムにより簡単に送金
ネイティブネームシステムとは、Steem経済圏内のトランザクション処理はユーザー名に紐づいて行われるという仕組みを言います。これによりトークンの送信・受信を行う際、「ユーザー」を宛先に入力するだけで送金が可能となります。つまり、相手からウィレットのアドレスを聞かなくとも、アカウント名さえ知っていれば相手にトークンを送ることができます。

(2)トークンの活用先となるアプリ


さらに、Steemブロックチェーン上にはSteemit以外にもすでに350以上のアプリが存在していて、ユニークなものではネットショップやゲーム、クラウドファンディングなどがあります。そのため、報酬で得たSBDを利用してグッズ購入やゲームを楽しんだり、有望なプロジェクトへ投げ銭んどすることができ、資産として保有するだけでなく、実際に活用としての使い道が多彩に存在しているのがこのSteem経済圏の魅力といえます。

□□E-commerce□□
steemit shop
@steemshop
スクリーンショット 2018-06-12 15.20.32.png

other E-commerce project
スクリーンショット 2018-06-12 15.28.03.png

□□ゲーム□□
Steam monsters
スクリーンショット 2018-06-12 15.36.42.png

□□クラウドファンディング□□
fundition
@fundition
スクリーンショット 2018-06-12 15.34.10.png

こうしたユニークなトークンの特徴に加え、活用しやすいSteem上の設計が施され、実際に報酬として得たトークンの活用先が多彩に存在することから、Steem経済圏内に参加者が留まり、活発な経済活動がなされる仕組みとなっているのがよくわかりますね。

しかしながら課題点もあり、SBDがドルに固定していないと言う現象がしばしば生じています。本来、上記であげた設計は全てのトークンがそれぞれの役割を全うした上で成り立つ仕組みとなっています。では実際のところは言うと、安全資産として役割を担うはずのSBDが現時点でドル価格と開きがあり1SBDが2ドル前途となっています。1ドルより価値が上がっているのでさほど問題にはなっていませんが、これがもし逆であった場合、安全資産としての価値は担保されているとは言えなくなりますよね。
更に意外なことに、流動資産であるSTEEMがそこまでボラティリティが激しくなく、この半年間のチャートを比べてみてもSBDと同じような値動きをしています。

STEEM
スクリーンショット 2018-06-13 00.01.26.png

SBD
スクリーンショット 2018-06-13 00.01.48.png

もし現状のようなSBDがドル価格に固定されていなく、STEEMのボラティリティが低く安定通貨として体をなすようであれば、もはやSTEEMとSPの2つのトークンでも十分、Steem経済圏が成り立つといえるかもしれないですね。
事実、先日の@ned 来日の際に参加者からの質問で現状「2つのトークン」での運用についてその可能性を言及していたのを思い出します。
@ned来日時のレポート記事はこちら
【議事録】 Steemit CEO Ned Scott @Meetup Tokyo (5/8-tue-)

ホワイトペーパーはあくまで理想を語るものであり、運用してみての実態とのギャップが生じれば、その仕様も適宜修正をしていく必要があるかもしれませんね。

まだまだ発展途上である「活用としてのブロックチェーン」の分野において、参加者が理想の在り方とは何か「導入背景」をしっかりと理解したうえで「現実とのギャップはなぜ生まれるのか」を議論をしてみると素敵なSteem lifeが送れるかもしれませんね。


□ INDEX
[ Steem report Vol.1 ] STEEM / Steemit / Steem 意外と知らない3つの違いって?
[ Steem report Vol.2 ] 意外と知らない Steem Blockchain の仕組みについて
[ Steem report Vol.3 ] Steem の報酬設計とコミュニティに与える影響ついて
[ Steem report Vol.4 ] インフレ通貨としてのSteemの価格維持設計について
[ Steem report Vol.5 ] Steemの「投票」システムについて


===============
その他ご質問事項がありましたらTwitterでDMください
https://twitter.com/moromaro6
===============

H2
H3
H4
3 columns
2 columns
1 column
11 Comments